手の腱鞘炎

手は「脳の延長したもの」と言ってもよいほど、5本の指を動かすという複雑な動きが可能ですので、肘から手首までには細長い筋がたくさん存在します。肘から下の手のひら側には屈筋が、背面側には伸筋がありますが、これらは一方が縮むと他方が伸びるというように拮抗した働きをします。

手の甲の腱鞘とその鞘(さや)に収まっていく筋が主に刺鍼の対象になります。

症状は物をつかみにくくなったり、ちょっとした動きで痛みが出たり、しびれがあるなどが多いです。病院の診断で腱鞘炎との診断が出ていなくとも、前腕から手首に痛みがあれば同様の治療を行えます。外傷がなければ、筋肉の硬さが原因であることがほとんどですので鍼が適応になるでしょう。

原因は手の使い過ぎですが、肘から下はテニス肘・野球肘の治療とほぼ同様に行い、腱鞘部や親指の付け根付近など痛みのある局所への治療を加えます。

他の疾患と同様、治療後は休ませることが必要ですが、手は使わないわけにはいかない部位なので、物を握る、掴む、長時間のパソコン操作など手の酷使を強いられる方は特に、再発しないよう痛みが取れた後も肘から下の筋肉は広範囲に深部まで緩めておく必要があります。