指針① 安全な刺鍼

 体形にもよりますが、身体の部位によっても刺鍼の深さが異なります。1cm程度の深度の部位もあれば、10cm程必要な部位もあります。当院では解剖学と主に北京堂代表淺野周訳『刺鍼事故 処置と予防』を踏まえて安全な施術を行っており、特に刺鍼事故で最も多いとされる気胸に関しては細心の注意を払っています。骨に届かせる刺法によって、それより深く鍼が入っていかない状態にし、刺鍼中の筋肉の収縮による鍼の引き込みを防いでいます。

 指針② ぎっくり腰、寝違えなどの急性疾患は短期間で

 短期間での治療を理想としています。当院の治療を行った場合、急性のぎっくり腰、寝違え、捻挫は、1〜3回の治療で痛みが取れ、日常生活には支障が出なくなるはずです。

 その他慢性疾患は平均的に6~7回の通院が必要ですが、重症であれば10回以上かかる場合もあります。障害箇所が多部位に渡ればもちろんそれ以上になります。また治療間隔が開いてしまったり、仕事やスポーツなどが原因であるにも拘わらず、治りきらないうちにそれらによって障害の出ている筋肉を酷使し続けたりしている場合にも治療期間が長引くことはご了承ください。

 以上どんな疾患でも一発で治ると勘違いされている方もまれにいらっしゃいますので付け加えさせて頂いた次第です。無理ですよ、魔法じゃないので。鍼に「一発で!」を期待する気持ちはわからなくもありませんが・・・

 患者さんにとっては、治りそうであるかないかは、3回目までにわかるはずと考えて施術に当たっています。慢性の場合は目標をどこに置くかで、通院回数が個人個人異なるでしょう。日常生活に支障がなければよしとするか、痛みが消えればOKとか、長距離を走っても痛くなくなるところまで改善させたいとか。また、10回以上かかりそうな疾患でも、10回通って何となく良くなっているような気がするという程度ならば、申し訳ありませんが効果がないと考えて頂いてよろしいかと思われます。度々突っ込まれますが、見放しているのではありません。効いていない時、施術範囲を広げたり、治療法を変更してみることが必要ですが、変化があまり感じられないということであれば、当院の治療では適応でない可能性が高いです。

 当院の治療が効いている場合、起き上がることができなかった腰の痛みがなくなったとか、挙がらなかった肩が挙がるようになったとか、頭痛が消えたとかのように効果が明確に実感できる形で現れます。もちろん徐々にでも効果を実感できるならば続けて頂いてよろしいでしょう。身体のメンテナンスとして通うというのも歓迎いたします。ただ一つの疾患に対しては到達地点をどこに置くかをはっきりさせるべきです。

 効果があまり実感できないにも拘わらず、惰性で通院されているのか(この場合良くなる状態というのがどういう状態なのかがわからない?or 知らない?or 諦めている? )、難治性の疾患をお持ちの患者さんの治したいという感情に付け込まれているのか、有名治療家の信者なのか、気付かないうちにNOと言わせない説得術で次の予約を入れられてしまったのか、単に話し相手が欲しいのか(それもいいけど)わかりませんが、無駄に通院をされているように見える方がおられるので申し添えた次第です。余計なお世話か?このような状況では、鍼治療などは『代替医療解剖』(旧題『代替医療のトリック』サイモン・シン/エツァート・エルンスト共著)での指摘通り、単なるプラシーボ効果しかないと見なされて終わりでしょう。

 いずれにしても当院では、効果を実感できていないにもかかわらず免疫力を高めるからとか、続けていれば良くなる(そういうこともありますが、鍼で治ったのか自然に治ったのかがわからない)等の理由で長期の通院を促すことをしておりませんので、「可能な限り短期間で治療」することを指針にしています。長期間の通院が必要なときはその旨お伝え致します。

 ところで、鍼治療やナントカ治療で免疫力を高めましょうなどのうたい文句をしばしば耳にしますが、ど~なのかしらね。「免疫力を上げますだのと謳った治療はすべてインチキで、免疫を付ける方法はワクチンしかありません。」と言われたらどう反論するのかしら。

 また、筋肉の凝りや硬縮が原因となる疾患は、適度の運動やストレッチ、入浴などで予防できてしまう事も多いので普段から自衛は必要です。

 鍼は本来、即効性があり持続性もある治療です。ヘルニアや狭窄症等の疑いを排除できた場合の急性ぎっくり腰を短期間で治せないようでは、鍼治療など廃れていっても仕方がないんじゃない?と思うんですけど・・・自戒も込めて。えっ、美容と不妊は流行ってる?